ホールに現われた妖精?

私のいきつけのホールには常連に妖精、と噂されている女の方がいます。年のころはおそらく30、40くらいでいつも定位置のベンチに座っています。
なんで彼女が妖精と呼ばれるのか、それはその奇妙な行動にあります。
そのホールではベンチの前が鏡張りになっており、言うまでもなく自らの姿が映し出される状態となっています。
そんな鏡の前で彼女は何故か、1人ファッションショーのようなことを毎日毎日続けているのです。
誰に見せるわけでなく自らの姿に陶酔しているような様子は普通の人間には思えずそれこそまるで妖精のようです。

しかしそれだけが彼女が妖精と呼ばれている理由ではありません。
実は彼女は当たり台を教えてくれる、という噂があるからなのです。
とある常連が彼女の落としたハンカチを拾ってあげたところ、角のゴッドが出るみたいよ、と教えてもらったというのです。
半信半疑で座ってみたところ、なんと数ゲームでゴッドを引いた、なんて噂があるのですね。

その話を聞いてからなんとか彼女にコミュニケーションをとってみようかと思っているのですが…
実際に彼女の奇行を目の前にしてしまうとどうも気後れしてしまうのですね。
もし自分だったら間違いなくそのハンカチをスルーしてしまっていたでしょう。
幸運というものは訪れる人間にしか訪れないということなのでしょうか。

きっと今この時間も彼女はいつもの定位置でファッションショーを行っているのは間違いありません。